転載:視覚障害者のスマホ使用法を開発 点字を応用 東京(asahi.comから)


http://www.asahi.com/health/news/TKY201107070749.html
(転載許諾済)


2011年7月8日
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 凹凸がないスマートフォン(多機能携帯電話)や情報端末のタッチパネルを目の見えない人が使う方法を、東京都練馬区の視覚障害者、長谷川貞夫さん(76)が開発した。点字の原理を応用し文字入力する仕組みだ。

 画面を指で直接なぞるタッチパネルには、凹凸のある押しボタンがない。視覚障害者には、ボタンやキーの位置が決まっているプッシュホンやパソコンのキーボードより操作が難しい。

 点字は縦3列横2列の計6個の点の組み合わせで仮名や数字を表す。長谷川さんらはこの配列をタッチパネル上に作り、点の部分を指で触るとブルッと振動する仕組みを開発。数個の点をなぞれば1文字が完成する仕組みを「イッピツ」と名づけた。「イッピツを発展し、自在にタッチパネルを使う方法を編み出したい。振動を利用すれば、目が見えず耳も聞こえない盲ろう者も使える」という。

 研究仲間の群馬工業高等専門学校電子情報工学科の牛田啓太講師(33)が協力。東京ビッグサイト(江東区)で5月に開かれた「無線技術応用産業展」に参加し、米グーグル基本ソフト「アンドロイド」の普及をめざすNPO「日本アンドロイドの会」のブースで披露した。

 長谷川さんは幼いころから弱視で、20歳で完全に失明。31歳のとき、はりやマッサージの教員として東京教育大付属盲学校(現・筑波大付属視覚特別支援学校)に赴任した。

 「機械を介して、目が見えたころのように読み書きをしたい」との思いは強く、大学生らと視覚障害者用ワープロなどの開発にかかわった。点字図書出版を手がける社会福祉法人「桜雲会」理事も務める。2010年には、社会で活躍する障害者を表彰するため埼玉県が設けた「塙保己一賞」の大賞を受賞した。

 東日本大震災が発生した3月11日、長谷川さんは自宅でラジオを聴き、震源地などを把握できた。だが「耳が聞こえなければパニックに陥っていただろう」と振り返る。「障害者が情報を得にくい現実を改善したい」との思いで開発に取り組む。(中川文如)