日本のコンピュータ草創期から「IPPITSU」によるヘレンケラー スマートフォンまで

社会福祉法人 桜雲会理事
社会福祉法人 日本点字図書館評議員
日本Androidの会 福祉部


長谷川 貞夫



 IPPITSU(イッピツ:タッチパネル点字一筆式入力)は、スマートフォンなどのタッチパネルを点字一筆書きに操作し、点字とともに、通常の仮名、英字、数字なども入力できる。また、漢字を入力できるようにもなる。
 私は、全盲の視覚障害者なので、視覚障害者用に共同研究者と開発したが、これは、視覚障害者はもとより、健常者、視覚聴覚重複障害の盲ろう者、手が不自由な障害者も利用できるユニバーサルデザインの文字入力方法なのである。それで、その実用の一例として、このIPPITSUを、体表点字による「ヘレンケラーホン」に応用して、これをもっと便利な「ヘレンケラー スマートフォンまでにしたいと思っている。

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「ヘレンケラーホン」
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1.はじめに

 1825年にフランスで16歳の視覚障害の少年、ルイ・ブライユが点字の符号を発明した。これは、今考えると、失明した人に光に頼らず触覚で文字を伝える福祉技術であった。


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 それから約190年を経た今日、この符号に各国でその国の文字を割り当てたものが世界で点字として使われている。この点字は、符号であるとともに、その符号を各言語の文字そのものとして直接に読めるところに、文字として、あるいは符号としての特徴がある。

 このルイ・ブライユによる点字の発明が、現在のコンピュータによる情報技術の時代の原点とも言える、モールス(サミュエル・フィンレイ・ブリース・モールス)の無線電信の発明の1837年の12年前の1825年であることに私は注目したい。つまり、この優れた二つの発明は、同時代なのである。

 モールスの発明は遠く離れて光も音も届かない人に電気で情報を伝えるいわゆるモールス通信の発明であった。
 これに対して、ブライユの発明は視覚障害で光で文字が読めない人に、指の触覚で文字情報を伝える点字の発明であった。
 そして、現在はITと呼ばれる情報技術の時代である。だから、今こそ、発明の時期が同時期であった、この情報通信技術と点字を融合させて情報に恵まれない人々に光明を与える時なのである。また、私は、健常者もスマートフォンなどの入力において、この点字の合理性を応用したIPPITSUを利用するようになることを願っている。

 今から54年前の、1957年に日本電信電話公社(現在のNTT)武蔵野通信研究所が日本の草創期のコンピュータを試作した。草創期のコンピュータには、真空管式、トランジスター式、日本が発明したパラメトロン(後藤英一)によるパラメトロン式があった。日本電々公社のものは、パラメトロン式であった。
 そのパラメトロン式コンピュータで、点字への応用実験の計画があった。それで、コンピュータと結ぶ点字プリンターを製作する必要が生じた。その点字プリンター開発の参考となる手動式の点字タイプライターが東京教育大学附属盲学校にあった。それで、私が、その手動式点字タイプライターを、武蔵野通信研究所の喜安善一先生に盲学校の寄宿舎において、私が手渡すことになった。それは、この点字の研究は、東京教育大学との共同研究であり、私の先輩で全盲の尾関育三氏が、この大学の大学院生であったからである。それで、この先輩が私に手動式点字タイプライターを喜安先生にお渡しするように頼んだのである。私は、この時に点字とコンピュータが関係あることを初めて知った。そして、このことが、私の1974年の、別の点字装置とコンピュータによる、初めての点字キーでの漢字を含む日本語入力実験へとつながった。そして、点字とコンピュータが関係あることを知ってから、実に半世紀以上を経て、今日のIPPITSUに至ったのである。


 なお、この武蔵野通信研究所の紙テープ可動の点字プリンターが、筑波大学附属視覚特別支援学校(元、東京教育大学附属盲学校)の資料室の倉庫にあることを、ブライユ生誕200年の2009年に学校で確認できた。これは、世界最初の紙テープデータ可動の点字プリンターと私は考える。だから、世界の視覚障害者にとっての文化遺産であり、極めて貴重なものである。


 現在はパソコン、携帯電話からタッチパネルのスマートフォン、タブレットコンピュータの時代となりつつある。この時代において、ブライユの点字を応用した IPPITSUを紹介できることをこの上ない幸せと感じる。また、この IPPITSU は、健常者も各種の障害者も共通に利用できるユニバーサルデザインのものであると考え、ブライユの点字の原理が、世界の健常者、障害者の区別なく利用されるようになることを強く希望している。


2.情報社会への入口と出口

 これからスマートフォンなどの情報機器の時代を迎えるにあたり、IPPITSUなどによる、端末のタッチパネルでそのまま入力できることは情報社会への入口を確保したことになる。
 スマートフォンは、これまでの携帯電話と異なり、必要とするアプリケーションを、Appleが運営する『App Store』やGoogleの『Android Market』等で提供される、何万件とある無料や有料のものの中から選びダウンロードして使うことになる。この場合、タッチパネルで文字入力ができないと、健常者と同じようにスマートフォンを便利に利用することができない。
 情報の出口については、視覚障害者の場合、画面は見えないが、スマートフォンの音声機能を使い、また、別の点字ディスプレイと接続することができる。盲ろう者の場合も、点字を指先で読める人は点字ディスプレイを利用することができる。しかし、多数である盲ろう者で障害になった年齢、手の感覚障害などで、指先で点字を読めない人は点字ディスプレイを利用することができない。このような人は、現在の出版、ラジオ・テレビの放送、インターネットと豊かな情報社会において、全く1文字の情報さえ、通信で得ることができない。つまり情報の真空スポットの住人なのである。ところが、このような人にとって、体表点字が、鈍くなってしまった指先を使わずに辛うじて通信で点字の情報を伝える手段となった。また、この後に初めて紹介する「画面振動点字」が体表点字と合わせて、情報伝達の手段となるものと考える。


3.パソコンからタッチパネルのスマートフォンなどの時代へ

 過去30年にわたり、パソコンが視覚障害者の生活、学習、職業などの情報支援において果たした役割は計り知れないものがある。また、この約10年では、携帯電話の進歩と普及がそれを補った。これらの支援は、視覚障害者の利用において、入力キーの触覚による使いやすさとその操作による結果が、音声出力、点字出力で確認できることによった。
 ところが、現在、タッチパネルに描かれたソフトキーなどで、パソコンと携帯電話の両面の機能を持つスマートフォンとタブレット形コンピュータが普及しつつあり、視覚障害者は、このタッチパネルの入力部分でのバリアのために、これまでのパソコンのように健常者などと共通な端末を使えなくなるのではないかとの危惧がある。ところが、ここでの紹介により、それらの視覚障害者の文字入力における危惧が無用であることを知り、また、これから紹介するIPPITSU がかえって健常者が利用する可能性も秘めているほど便利なものであることが分かる。そして、たとえ点字式であれ、健常者さえ、より便利で高速な入力方法を選ぶであろうと想像する。


4. 6キーの点字キーと12キーのテンキー

 点字をソフトキーにすると6点のキーであるが、テンキーは、*と#を合わせて12個のソフトキーになる。点字キーにマスあけ(スペース)キーを加えても、点字の方が7キーのソフトキーという少数である。入力方法の選択と普及は、その入力速度が決め手となる。少数キーの方が、慣れれば入力は高速となる。また、より小型の装置に装備することができる。タッチパネルは、これからは、スマートフォンだけでなく、もっと小型な電機製品の入出力装としても使われるのである。

 また、一方、この一筆入力は、点を通過するごとに振動があるので、視覚・聴覚がともに不自由な盲ろう者という最も重度な障害者も利用できる。点字を覚えれば健常者も利用できるので、このように、誰でもが利用できるユニバーサルデザインのシステムになるのである。

スマートフォンには何種類かがあるが、この点字一筆式入力はAndroidのOS上で開発した。しかし、スマートフォンのタッチパネルのものとしては、Apple社のiOSによるiPhone、iPadなどが先行している。そしてバリアフリーとして、VoiceOver(ボイスオーバー)がよく知られている。しかし、私が体験し、また知るかぎり、文字入力にかぎれば決して便利とは言えない。私の不勉強かもしれないので、できれば、その入力の便利さを見せていただきたいと思っている。しかし、文字入力以外ではボイスオーバーは便利である。
 私の願いは、このiPhoneなども含め、すべてのタッチパネルのシステムにおいて、点字一筆式入力が可能になることである。そして、個人の必要により、どの入力方法も選べるようになることが大切なのである。


5. ヘレンケラーホン(盲ろう者用携帯電話)から生まれたIPPITSU

 私はこれまで、体表点字を応用したヘレンケラーホンの開発と普及に努めてきた。
 これは、その点字入力を携帯電話のテンキー上の6個のキーに割り当てたものである。つまり、携帯電話である「らくらくホン」のテンキーの押しボタンの1、2、4、5、7、8の3段の6個のボタンを点字の6点に当てはめ、目的とする点字の形に押してから、0ボタンでその点字の形を確定するものである。盲ろう者と電話の回線が通じていれば、その字が先方に届き、帽子の中での両側、両耳、両手首、寝たきりの人の両側の足の裏面などの体表で振動する2点式体表点字として読めるようになっている。

 「点字一筆式入力」は、この押しボタン式キーの点字の形をスマートフォンのタッチパネルのソフトキーに応用したものであるが、その原理は、「タッチパネルにおける点字式入力」と、「タッチパネルにおける一筆式入力」の方法よりなる。


6. IPPITSUの原理

 スマートフォンのキーは、タッチパネルに描かれたソフトキーなので、その画面が見えない視覚障害者には文字入力ができないから困るという声がある。しかし、IPPITSUなら入力できる。

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 つまり、このタッチパネルの枠を点字のマスの枠と考えればそれに伴い6点の位置が触覚ですぐ分かる。4角の枠の4個の角を点字盤のマス枠の4隅の4個の点と考えればよいのである。上の左右の角の内側が点字の上段の1の点と4の点になり、下の左右の角の内側が点字の下段の3の点と6の点になる。残る中段の2の点と5の点は、左右の長い枠の中間の内側になる。このようにすると、指は枠に触れた触覚で、容易に目的の点に到達することができる。しかし、これだけでは、点字の形は確定しない。別に確定のキーが必要となる。ヘレンケラーホンでは、確定キーは、0キーである。ここまでが、「タッチパネルにおける点字式入力の原理」である。

 次に、タッチパネルにおける一筆入力」の原理である。これは、点字を書こうとして画面の点に触れ、その指を離すと点字が確定される方法である。つまり、指が点に触れてから点から離れるまでの経路の点が点字の形となる。
 すべての点字が一筆入力になるから、点字の仮名の「あ」を書く場合は1の点に触れて、その指を離すと点字の「あ」が書ける。そして、この1点だけの点字で通常の文字の「あ」も書ける。同じようにすると、2の点は、小文字の「っ」であり、3の点は、「わ」となる。
 これらの場合、6個の点のいずれかに触れるとともに、その点に触れたということでその点の色が変わり、また音響でツッと音がして、振動もするのである。振動するから、盲ろう者の入力も可能である。また、指を画面から離すと文字が確定したという意味でポーンと音がして、「あ」と発音する。

 それなら、2個の点よりなる「い」「う」はどうするのだろうか。「い」は1の点と2の点なので、まず、1の点に触れてから指を画面から離さずに、そのまま2の点に行き、そこで指を離すと「い」になる。「う」は、1の点と4の点であるが、これも1の点に触れてから、4の点まで行き、指を離すと「う」になる。これらの2点の点字の場合も、点に触れると色が変わるとともにツッと音がし、また振動もし、指を離して点字が確定すると、ポーンという音と、それぞれの文字の発音をする。
 以上で、おおよその原理を説明したので、全部の6点よりなる「め」の例を示す。まず、1の点から順に2の点、3の点と下がり、右にそのまま移り6の点、5の点、4の点と上がり、そこで指を離すと「め」になる。この場合、必ずしも1の点からスタートしなくても、どこの点からスタートしてもよく、また、同じ点を何回通ってもよいのである。

 一筆で、1の点と3の点の2個の点よりなる点字の「な」の場合は、真っすぐに下がると2の点に触れて「に」になってしまう。この時は、内側に指をカーブさせて2の点を避けて3の点に達すればよい。

 同じように、中段に点のない「ふ」の場合は、上段の1、4の点を通ってから、斜に下がり、3の点を通って横の6の点に達すればよい。

 以上により、押しボタンによる点字式入力では、1点の「あ」であっても確定ボタンを押すことにより、2タッチとなり、6点の「め」の場合は7タッチとなった。ところが、一筆入力では、これらが、1点あるいは、線を引くことで、すべて1タッチとなる。


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7. 入力速度を速める点字枠

 点字一筆式入力の発想としては、最初、スマートフォンの全体の画面を点字の1マスとしたが、実際に入力してみると、入力はしやすいが指の運動範囲が大きい。そこで、できることならもっと入力速度を速めたいと考えた。まず画面保護の透明なシートを5ミリ幅に切ってそれを線として、画面を4分の1ぐらいにして、おおよそ、縦が4.5センチ、横が3センチの指で分かる枠を作ってその内側の縁に沿って指を動かすようにした。すると、画面全体の場合よりも指の動く距離が短いから速く書け、また指も大きく動かさないので入力が楽になった。今後は、個人個人の指の太さ、動かし方の好みに合わせて、入力画面の大きさを選択できるようにするのがよいと考える。


8. 握った拳でも足先でも書ける大きなタッチパネル

 入力の高速化のために小さな枠を作るのとは反対に、通常のスマートフォンより大きな画面で大きな点字にすると別の利用法があることも分かった。障害等で指先で入力できない人でも、大きな画面なら握った拳や指を横にして入力できるのである。

 全国盲ろう者協会に所属する盲ろう者で、手の震えもある障害のため、人差指などを自由に使えない方があった。この方は、指の震えのために、指先で通常の点字も読めないでいる。しかし、体表点字なら、指先を使わないので、点字の読みについては、ヘレンケラーホンの実用化練習を行なっている。この方の場合、点字は体表点字で読めるようになったが、入力を、「らくらくホン」の押しボタンで点字式に入力するのはかなり困難を伴っている。しかし、スマートフォンの中でも縦が7インチと特に大画面のGALAXY Tabで点字を一筆で入力するようにした場合、障害で人差指は使えない人が、親指の広い面を画面に当てて非常によく入力できた。これで最初に書いた点字は、ご自分の名前であった。文字の読み書きに不自由してきた人は、誰もが、まず最初に自分の名前を書きたいのである。私も最初のワープロ開発において初めに書いた文字は自分の名前であった。

 次は、東京コロニーに所属する上肢障害の方の例である。この方は、パソコンのキー操作を足の指先で行なっているため、点字一筆式入力を特に必要とはしないが、点字は初めてなので、点字の一覧表を見ながら足先で入力できるかを試させていただいた。その結果、かなり上手に入力できることが分かった。


9. タッチパネルを応用した「画面振動点字」

 画面振動点字は、体表点字に並ぶ新しい点字の表示方法である。これは、点字一筆式入力の応用でもある。
 点字一筆式入力は、指が点を通るごとに、その点の色が変わり、また音がしたり、文字の発音がして入力できた。これに対し、画面振動点字は初めから点字の形が示されていて、指を画面の枠に沿って1周させると、点のある場所で振動があり、点字の形を知ることができる。それで、そのようにして点字が読めるという原理である。この実験はまだ行なわれていないが、指先で点字を読めない人には、体表点字と合わせて点字を読むための手段となるであろう。


10. タッチパネルでの点字テキストの読み取り、および、編集と機能操作

 これまでは入力方法と読み取り方法について説明してきたが、当然のことながら、その文字を訂正したり追加・削除する必要もある。この場合、パソコンのフルキー上なら、文字キー以外のタブキー、カーソルキー、デリートキーなどを操作することになる。タッチパネルの点字においても、これらの操作のため、フルキー上のキーと同じ操作ができるようにする。

 その操作は、点字の「あ」、「い」、「う」…のように文字入力の場合は、一筆が点字の点に始まり、点字の点に終わるのである。これに対し、機能操作の場合は、一筆が、マスあけに始まり、点字の点に終わるのである。
 機能操作として、例えば、右カーソル機能は、マスあけから一筆入力が始まり、すぐ右の6の点で指を離す。これは、指が右に進むのだから右カーソルのイメージを持たせることができる。また、マスあけに始まり、左上の1の点に終われば、エスケープキーを押したことにする。これは、フルキーの左上方のエスケープキーのイメージを持たせることができる。


11.ブライユの点字力は「符号と文字が一致していること」

 情報交換用符号としてASCII(アスキー)がよく知られている。これは、7bitの符号系であるが、その7bitの2進数の符号を文字そのものとして読むことはない。ところが、点字は6点であり、これは6bitの符号系である。視覚障害者は、その符号そのものを2進数の文字として触覚の鋭い指先で読んでいるのである。触覚が鋭いと言っても、点字による情報量は視覚の情報量とは比較にならないほど少ない。しかし、幼少年期から訓練すればかなり速く読めるようになる。そして、点字ディスプレイを便利に使うことができる。

 一方、中・高年になってからの失明者には、一般に指先の触覚が鈍く指先で点字を読めない人が多い。しかし、聴覚が使えれば、パソコン利用などを音声に頼ることができる。
ところが問題なのは、多数である中・高年齢になってからの盲ろう者は、視覚、聴覚、それに指先で読む点字を利用できないから、全く電気通信による情報手段を持たないことになる。それでも、ワイシャツのボタンほどの振動体を1点とする体表点字で、指先に頼らず、全身の体表で点字を読めるようになる。これが体表点字である。また、スマートフォンなどの画面振動点字もこのような盲ろう者の通信手段となる可能性がある。

 これらは、点字の64パタンの同じ点字に、仮名、数字、英字、そのほかの文字を割り当てている。だから、64パタンさえ区別できれば、どんな種類の点字も読めるのである。外国の言語においては、その言語の文字に点字が当てはめてあれば、その言語が読めるのである。また、この方法を拡張すれば、下付け8点点字の拡張NABCC、上付け拡張点字の漢点字、これ以上の多点点字も読めるようになる。


12.おわりに

 私は昨年の4月に、情報技術の権威である高川雄一郎様に東京都立中央図書館でお会いする機会があった。これは私にとって、全く幸いのことであった。その際、高川様にヘレンケラーホンと、パソコンでの六点漢字による文字入力をお見せした。高川様は、これからはタッチパネルのスマートフォンの時代であることを教えてくださった。それで、私は、現在ではIPPITSUと呼ぶようになった「点字一筆式入力の構想をどうしても実現する決心をした。自分自身には全くプログラミングの開発をすることができないので、それを実現するための協力者を求めていた。運よく、群馬工業高等専門学校の牛田啓太先生がこれを研究テーマに取り上げてくださった。そして、学生の阿佐見聡士さんが、卒業研究として、「タッチパネルにおける点字一筆式入力」を選んでくださった。昨年の初秋から開発を始め、12月末には基本ができた。そして、今年の2月に現在のものとなった。それで、電子情報通信学会のWITにおいて共同研究発表した。
 ここまで来るまでに、試作プログラムのインストール、そして、一筆入力の試行、視覚障害者、盲ろう者の方々による評価など、多くの皆様のお世話になりました。ここに、心より感謝申し上げます。
 また、IPPITSUを開発するに至るまでは、その基礎となったヘレンケラーホンの開発において、佐々木信之先生(筑波技術大学)、大墳聡先生(群馬工専)に共同研究者になっていただき、また、ヘレンケラーホンの補助装置の製作には内山幹男氏のご協力がありました。ここにお名前を紹介させていただき、感謝申し上げます。



■参考文献
[1]佐々木信之・大墳聡・長谷川貞夫・原川哲美、「テンキーの点字マッピングを用いた入力に関する検討」、ヒューマンインタフェース学会研究報告集、Vol.9、No.1、55-60、2007
[2]大墳聡・佐々木信之・長谷川貞夫・原川哲美、「体表点字と携帯電話による盲ろう者への遠隔支援システムの考察」、電気学会論文誌D、Vol.126、No.10、1406-1412、2006
[3]牛田啓太・阿佐見聡士・長谷川貞夫、「タッチパネルを用いた点字マッピング一筆書き文字入力方式の提案と開発」、電子情報通信学会技術報告、WIT2010-77、57-61、2011.2
[4]長谷川貞夫、「点字の市民権確立を6 ブライユ誕生200年に考える――六点漢字・初めてのワープロからヘレンケラーホンの誕生まで」、『視覚障害』No256、31‐41、2009.9
[5]長谷川貞夫、「どうしても書きたい! 失明前のあの文字を――六点漢字体系から最初の日本語ワープロ開発とその普及」、『万人のための点字力入門 さわる文字から、さわる文化へ』、89‐93、生活書院
[6]阿佐見聡士、「タッチパネル向け点字マッピング一筆書き文字入力方式の開発」、2011.2.28、平成22年度 群馬工業高等専門学校 卒業研究報告書
[7]長谷川貞夫、「『スマートフォンなどタッチ画面の点字式一筆入力』とブライユの点字力」、『視覚障害』No.276、15‐25 、2011.5


<参考>
学会発表「タッチパネルを用いた点字マッピング一筆書き文字入力方式の提案と開発」
http://ubq-brl.at.webry.info/201102/article_2.html


作図:阿佐見聡士
写真撮影:古川愛子