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zoom RSS やっとJR高田馬場駅のホームドア運用開始!:ついに「橋の欄干が実現」

<<   作成日時 : 2013/12/21 16:15   >>

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 待望のJR高田馬場駅のホームドアが運用開始となりました。




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(写真=駅員さんはこの駅を利用する視覚障害者が全国で一番多いことを知っていました。)





 この駅のホームドア運用開始には、視覚障害者にとって特に大きな意味があります。

 それは、現在における日本全国の鉄道と道路などの、いわゆる「点字ブロック」の本格的な普及は、この高田馬場駅に始まるからです。

 そして、その上に、本日は、視覚障害者や一般の人も、ホームドアの運用開始により、誤まってホームから転落する心配がなくなりました。



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 つまり、点字ブロックの普及と、それの延長である鉄道駅の安全施設として、なお完全に転落事故を防ぐホームドアが実現したのです。

 上野訴訟(*)の結果は、駅においては、転落防止の点字ブロックがホームの端に敷設されましたが、安全にとってより完全なホームドアが設置された訳なのです。

 その上に、点字ブロックは、全国の道路において、視覚障害者の移動の便利さと安全を支えています。

 上野訴訟はその後、

・駅ホームの転落防止の点字ブロック
・全国の道路などに敷設されている、いわゆる点字ブロック
・駅ホームのホームドア

と、視覚障害者の安全な移動と便利さの施設において、三つの功績を残しています。

 改めて、上野訴訟を起こしたご家族の勇気と、その訴訟を支援した、「上野裁判を支援し、国鉄利用者の生命と安全を守る会」の橋本宗昭さんらの功績の大きさを感じます。

 もちろん、点字ブロックは、岡山県の三宅精一氏の、「財団法人安全交通試験(改行)研究センタ−の点字ブロック」に始まりますが、上野訴訟がなければ、点字ブロックの今日の普及はなかったものと私は考えます。

 この点字ブロックは、視覚障害者のホームからの転落防止のためにホームの端に沿って敷設されましたが、やがて、全国における道路などの視覚障害者の歩行の誘導支援と危険防止に欠かせない施設となりました。




 表題の「ついに橋の欄干が実現!」には、「橋」の字に、二つの意味が含まれています。

 ホームを「川に架かる橋」にたとえた「橋」という意味に、もう一つの「橋」とは、「欄干のない橋」と言う文言を残した橋本宗昭さんの名前の「橋」です。

 健常者が、もし、落ちたら死亡するかもしれない急流の川の欄干のない橋を、闇夜に渡らざるを得ないとしたら、それは、危険なことであり、また、耐えられない恐怖です。

 視覚障害者は、毎日、ホームを移動するたびに、そのような思いをしているのです。

 その橋本さんが、約40年前の、「上野訴訟」において、裁判での証言で、「視覚障害者が、駅のホームを歩くことは、人が闇夜に欄干のない橋」を渡るような危険なことです」と述べました。

 その「欄干のない橋」という文言がマスコミに取り上げられて、多くの人が知るところとなりました。

 そして、上野訴訟を支援する人々の、分かりやすい合い言葉にもなったのです。

 「橋」の一つ目の意味は、この「闇夜に渡る欄干のない橋」の意味です。

 橋本さんは、分かりやすい名言を残しました。



 ここで、上野訴訟(*)について説明しなければなりません。

 上野訴訟とは、昭和48年(1973年)に、高田馬場駅を利用して、ヘレンケラー学院に通学していた上野孝司(当時42歳)さんが、通学の途中で、国電(当時)山手線高田馬場駅ホームから転落し、貴い命を落とした事故がありました。

 通常なら、これは、単なる乗客の不注意による事故として処理されてしまうものでした。

 ところが、上野さんのご両親は、視覚障害者がホームから転落したのは、鉄道施設に責任のある国鉄(国有鉄道公社)の施設の不備によるものと、その責任を追求する損害賠償請求の訴えを起こしました。

 橋本宗昭さんは、この裁判を支援するグループを組織し、「上野裁判を支援し、国鉄利用者の生命と安全を守る会」の代表となりました。

 当時、国鉄の法律関係を担当する法務部は、「乗客の駅ホームからの転落事故は、鉄道の「無責任事項」として処理していました。

 つまり、鉄道側には、全く責任がないということでした。

 それに対し、上野さんのご家族が、国鉄に責任があると訴訟を起こした訳なのです。

 そして、橋本さんたちは、安全施設が不備な国鉄側に責任があると、上野さんのご両親の訴訟を応援しました。

 結局、国鉄側は、和解ではありましたが、責任を認め、「今後、国鉄は、視覚障害者の安全にできるだけ配慮する」の意味の条件を付けて、原告の勝利的裁判を終えたのでした。



 高田馬場駅の周辺には、日本で最も多数の視覚障害者のための施設があります。

 この駅に、ホームドアが付いたことは、誠に喜ばしいことです。

 また、池袋、目白、高田馬場、新大久保と、高田馬場駅周辺にホームドアのある駅が続いたことも素晴らしいことです。

 今後は、新宿駅、東京駅など、主要な大きな駅にもホームドアが設置され、一日も早く山手線の全線が安全になることを心から望みます。




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(写真=ホームドアの扉の両側のフェンス上には、点字案内もあります。この場所で亡くなった上野孝司さんのご冥福をお祈りして。)



(*)
国鉄上野裁判(前・後)
―死者は帰らない―
http://www4.famille.ne.jp/~aikoh/000honma-jidai-shyo_049.html
http://www4.famille.ne.jp/~aikoh/000honma-jidai-shyo_0492.html


<参考>
JR高田馬場駅にいよいよホームドア設置―欄干のないホームに欄干が!


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