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zoom RSS 「ワイヤレスジャパン2013」と「ヘレンケラースマホ」の本質

<<   作成日時 : 2013/06/05 19:58   >>

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 この度、「ヘレンケラーシステム開発プロジェクト」を結成しました。

 その代表の長谷川貞夫です。

 5月29日(水)から31日(金)までの3日間、東京ビッグサイトにて、「ワイヤレスジャパン2013」が開かれました。
 http://www8.ric.co.jp/expo/wj/

 私は、ここの「日本Androidの会」のブースで、現在開発中の「ヘレンケラースマホ」のデモを行ないました。





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           http://www015.upp.so-net.ne.jp/chibadb/hkhn102.pdf





 ブースへ来られた方々には、各会社でICT技術の開発担当者、その外国人もありました。

 それから、地方自治体の福祉関係者、大学や専門学校の教員、一般の参加者など様々でした。




 一方、多数の人が出席するセミナーで、以下で説明する「ヘレンケラースマホ」を実演しました。

 私がセミナー参加の健常者のスマートフォンからの普通の文字でのお名前の送信を、体表点字で「あ り む ら」様と読み上げました。




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 また、私がスマートホンの画面で点字式で通常の文字を入力できるところをお見せしました。

 時間があれば、「ありむら」様とメールの交換ができたのですが。


 驚いたのは、 このセミナーに盲ろうのMさんという方が参加されて、その後、ブースの方へ通訳の方と一緒に来られ体験されたことです。

 Mさんは、短い時間でしたが、とても熱心に説明を聞き、体表点字(*1)での「あ い う え お」を読めるようになってお帰りになりました。




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 とてもうれしそうでした。



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 今後、もう少しソフトの開発が進めば、漢字での通信もできるようになります。


 このように、「ヘレンケラーシステム開発プロジェクト」は、盲ろう者が必要とする各種のアプリや装置を開発するプロジェクトです。

 今回発表した「ヘレンケラースマホ」は、このプロジェクトが開発中の盲ろう者用電話です。

 現在開発中ですが、今でも電話として最も基本となる、視覚のある人と盲ろう者の間の相互通信ができます。

 ある条件下では、すでに実用のものです。


 会場のブースでは、多数の参加者により、Androidのスマホを使い、盲ろう者に扮した私とヘレンケラースマホで相方向からの電話を体験してもらいました。

 私は、ちなみに、耳が聞こえますから盲ろう者ではありませんが、耳栓で耳が聞こえないようにした全盲の視覚障害者です。



・ヘレンケラースマホの本質は、視覚がある弱視や健常者が盲ろう者と体表点字を通して行なう筆談の電話です。

 また、点字を使用する視覚障害者は、盲ろう者と、遠い場所からでも体表点字で相互に筆談ができます。



 もう少し具体的に述べます。

 視覚のある弱視や健常者は、iPhoneや、AndroidのスマホなどでGoogle トーク(Google Talk)で通常の入力を行ない、盲ろう者に送ります。




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 その内容が、盲ろう者が持つAndroidのスマホにUniChatXで体表点字として伝わります。

 UniChatXは、プロジェクトが開発中のアプリです。




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 盲ろう者は、その言葉に対して、スマート点字(*2)というアプリで、画面を点字式に操作して通常の文字を書きます。



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 そして、視覚のある人にUniChatXで送ります。

 これで、通常の文字と体表点字との間で、相互通信できたことになります。

 ですから、盲ろう者の家族や知り合いは、これで日常的に盲ろう者とコミュニケーションをとることができます。

 これが画期的なことなのです。



 ここで「体表点字」について簡単に説明しておきます。

 点字は指先の触覚で読む文字ですが、今から約190年前の1825年にフランスのルイ・ブライユという視覚障害者が発明しました。

 点字は、おおよそ、横が6ミリ、縦が9ミリの範囲にある約直径が1ミリ余りで高さが0.4ミリほどの6個までの点で1文字が構成されています。

 この点字に世界の文字を当てはめたものが各国に普及しました。

 それで、点字は、若い間など、学習に適した年齢までに習えた人には非常に便利な文字です。

 しかし、年齢などの関係で、指先の皮膚が厚くなったり、感覚が鈍くなった人にはこの指先で読む点字の学習は困難です。

 そこで、まず、この従来の指先で読む点字が読めない人のために、直径が1ミリ余りの点字の1点の代わりに、直径2センチほどのコインのような円板を電気的に振動するようなものを点字の1点にしました。

 次に、この振動するものを、頭部でも背中でも足でも、どこでも振動で6点の点字として読めるようにしたものが体表点字です。

 稀に8点式の点字を用いる人もありますが、もちろん、原理として8点式の点字にも対応できます。

 体表点字は、各点が電気で振動しますから、コンピュータで制御できます。

 この振動する点字の1点は、ワイシャツのボタンほどのものから直径3センチのものまであります。

 今はICTの時代です。

 いくら便利なICTの時代でも、全く視覚がなく、全く聴覚もなく、そして、指先で読む通常の点字も読めないヘレンケラーのような最重度盲ろう者は、何の通信手段を持たないのです。

 そこに、わずかですが光明をもたらすのが、このヘレンケラースマホであり、電話以外も含めたヘレンケラーシステムなのです。

 指先で読む通常の点字が使えれば、点字ディスプレイという装置を通してコンピュータとつながります。

 しかし、50歳とか、中年、あるいは高年になってからの盲ろうの重度障害者には点字ディスプレイで用いる、指先で読む字の習得が困難なのです。

 この人達が、盲ろう者の中でも最重度の障害者なのです。

 ところが、体表で振動する大きな点を読む体表点字なら、この最重度の盲ろう者でも点字を読むことが可能になるのです。



 本年、11月にフィリピンで世界盲ろう者会儀が開催されます。

 この会議の機会に、ヘレンケラースマホを、日本から世界に発信できる福祉技術として紹介したいと希望しています。

 厚生労働省の推計によりますと、盲ろう者は全国に21000人いるとされています。

 世界の人口を仮に70億としますと、単純に推測すると、世界の盲ろう者は約60倍の126万人いるということになります。

 ヘレンケラーシステムは、これらのうちの人々のうちで、適応可能な方のお役に立てると思っています。







 お問い合わせ先:ヘレンケラーシステム開発プロジェクト
helen-keller-project@googlegroups.com
(長谷川貞夫、武藤繁夫、成松一郎、新井隆志)

[参考]
*1) 体表点字:開発 長谷川貞夫 佐々木信之 大墳聡
*2) スマート点字:開発 長谷川貞夫 武藤繁夫








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