長谷川貞夫の視覚障害とユビキタス情報バリアフリー

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zoom RSS IT時代における「対面朗読」からの展開

<<   作成日時 : 2010/08/27 16:48   >>

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 公共図書館サービスの問題には、高齢者、障害者一般などの支援のあり方がありますが、焦点が広がりすぎますので、ここでは、あえて、視覚障害者の問題にしぼらせていただきます。

 また、サービスのシステムのあり方については、IT時代にふさわしく、時代的要請を先取りするような方法を提案したいと考えます。

 以下、私が実際に体験した歴史を踏まえて、以上の立場から書かせていただきます。



● 公共図書館における対面朗読に関連してのシンポジウムがあります。

図書館の障害者サービス復興を願うシンポジウム
http://www.daikatsujibon.jp/0828.html

 私は、その、今で言う「対面朗読」を都立日比谷図書館で昭和45年から、まだ試行のサービス時代から受けていました。

 当時は、コンピュータが一般化されていない時代でした。国では、国会図書館や気象庁などに、コンピュータのためにわざわざ冷房した一部屋を占領させるような汎用コンピュータがありました。民間では、大企業の大日本印刷、凸版印刷ぐらいに自動編集と印刷用の版下作成などのためにありました。

 ところが、それから40年を経て、今は、携帯電話、モバイル、スマートホンなどの言葉で代表されるパソコンさえもしのぐ時代になりつつあります。また、カバンに入れられる大きさで、図書館の蔵書にも匹敵するような、数千冊の本を蓄積できる電子書籍さえ発売されています。数千冊ですから、図書館をカバンに入れて持ち歩いているようなものです。まさにこれは、IT時代が成熟しつつあるということです。

 今から40年前の試行から始まった日比谷図書館の対面朗読も時代に合わせて当然に変わるべきものと考えます。もちろん、IT時代になり、公共図書館そのものの機能が変わりつつありますが。



対面朗読における情報提供の即時性とIT時代における即時性。

・40年前の点字図書館の図書製作の実際は、神聖化された献身的なボランティアに支えられていました。当時としては、これは素晴らしいことでした。

 点字図書は、後藤静香(ごとう せいこう)先生に始まる点訳奉仕運動と、それに続く本間一夫先生らによる点訳奉仕運動により作られるようになりました。

・オープンテープによる録音図書の製作は、昭和32年に、銀座・教文館ビル内の国際キリスト教奉仕団の「盲人のためのテープライブラリー」に始まります。日本点字図書館は、その後、これにならい、録音テープのための朗読奉仕者も養成しました。

 以上の点字図書、録音図書の製作は、いずれも、奉仕のボランティアにより支えられていました。

・昭和45年ごろまでに、社会が豊かになり始め、盲学校などから、一般大学に進学する学生が増加しました。しかし、点字図書館などは、それらの学生の勉学を支えるために、点字図書、テープ図書を提供できませんでした。
 これらのこともあって、複数の団体が運動して、昭和45年度から都立日比谷図書館が、公費で点字図書館のような図書製作を開始しました。しかし、希望する点字図書、録音図書を製作するには、かなりの日数を要しました。そこで、図書製作を円滑に進めるために図書館との交渉などのため、視読協(視覚障害者読書権保証協議会)が設立されました。

・ 私は、視読協に参加しましたが、録音図書製作にあまりにも期日がかかるので、録音されるのを待つのでなく、直接に図書館へ行って本を目の前で読んでもらうことにしました。それが、今、対面朗読と呼ばれるものになったのです。

・ 対面朗読は、点字図書館などにおける点訳や録音による図書製作による資料の蓄積に対し、対面での朗読により、いつでも利用者の情報取得に応じる情報提供の即時性が特徴です。
 また、対面朗読は、一般の図書資料が多く所蔵されている公共図書館だからこそ、その資料をすぐに読めるという即時性が成り立つサービスでした、

 以前、点字図書館は、点字や録音の資料を蓄積し、それを希望により郵送などで貸し出ところに特長がありました。これは、大切な機能でしたが、対面朗読については、公共図書館のように一般の資料の蓄積のない、いわゆる点字図書館ではできないことでした。

・しかし、現在のIT時代になって、情報は図書だけでなく、インターネットから、また放送から、とメディアが複雑になりました。

 そこで、40年前に必要に迫られ対面朗読が生まれたように、IT時代として、いろいろなメディアの資料を横断的に、また即時的に提供できる「視覚障害者総合支援システム」が必要と考えます。

 以下、それらについて、より詳しく説明します。


IT時代は、人の間に損在する距離の壁をなくしました。 

 対面朗読で図書館に行くのは、同じ時間に同じ場所で朗読者に会うためでした。
 視覚障害者が、交通機関を使っての図書館への交通の危険を伴う往復は容易なことではありませんでした。その上に往復の時間と交通費がかかりました。
 しかし、電話を用いたり、テレビカメラを用いるテレサポート(視覚障害者遠隔支援)の原理は、通信を通しての対面朗読であり、ITが視覚障害者と朗読者の間の距離をなくしたと言えます。


IT時代は、図書、放送、ネット情報、電子書籍の壁がない。

 公共図書館の対面朗読では、「図書館」だから、その読みの対象は図書でした。
 ところが、図書館に行くのは、あの紙に印刷された図書を読みに行くのでなく、情報を求めて行くのです。
 現在は、情報は、いわゆる印刷物の図書だけでなく、放送、ネット情報も同じに存在します。また、これからは、電子書籍さえ普及が予想されます。
 ですから、対面で支援する資料の対象は、これらのメディアを横断的に共通に含めるものです。



・テレビ携帯電話によるテレサポート

 これは、2001年10月におけるNTTドコモによる「テレビ携帯電話サービス」開始に合わせFOMA P2101Vを用いてNHKのニュースをテレサポートしたのが最初です。
http://www5d.biglobe.ne.jp/~sptnet/20474525/
http://www5d.biglobe.ne.jp/~sptnet/64161660/

・ 現在では、スカイプ電話がありますので、通信料金を気にしないでテレビカメラによる視覚障害者遠隔支援が可能となりました。

 支援できる内容は、遠隔からの図書朗読、テレビ放送画面説明、パソコン画面説明などが考えられます。

・リモートサポート(リモートアシスタンス)による支援

 これは、パソコン機能を応用し、静止画、動画などをリモートサポート機能で説明するものです。
 内容は、ネット上で見えるテレビ放送、美術館などの昨品案内と鑑賞などです。



ITの進歩による、読む情報対象(メディア)の変化

 現在、文字は、符号化することにより、原則的に自動的に読めるようになりましたが、図、表、写真、静止画、動画は自動的には読めません。これらは、人の脳を介して対象とする人に読めるようにしなければなりません。


IT時代における「実況放送アナンサーのような朗読者(支援者)養成。

 これまでは、朗読、あるいは音訳と言って、原則的に活字を放送のアナウンサーがニュース原稿を読むように文字を追って読めばよかった訳です。もちろん、音訳の言葉にふさわしい、1字ずつの文字の説明や図の説明などの技術もありますが。
 これからは、いわゆる、ぶっつけ本番のスポーツやイベントの動きの場面を即時的に解説するような「放送の実況放送アナンンサー」のようなスキルも求められます。
 ですから、このような支援者を育成する組織が必要です。


視覚障害者情報支援総合システム

 このシステムには、ITによる視覚障害者支援提供と、その支援者の養成があります。


・ITによる視覚障害者支援提供

 これには、テレビ放送などを番組放送中に、これと並行させて、全国、あるいは広域的にストリーミングで視覚障害者には分からない画像的なものに説明を加えるものと、個別の人にパソコンでのリモートアシスタントやスカイプでのカメラで、画像の説明などを加えるものがあります。今後のIT環境の展開により、いろいろなパターンがあるものと想像されます。

・ITによる視覚障害者支援提供者の養成。

 今でも前項のようなサービスが可能な支援者がいると思いますが、今後の支援者は、パソコンなどのIT機器の操作は必須と考えます。

 以上の結論として、横断的メディアは、図書、パソコン画面、放送内容などとありますから、人についても、いわゆる点字図書館、公共図書館、点訳・朗読グループ、放送関係者などによる「視覚障害者情報支援総合システムなどの構築が必要と考えます。
 これまでになかったテレビ放送などの画面のストリーミングによる広域的な説明については、放送法、著作権法などとの関連もあると考えられますから、それに合わせた法律的な対策も必要と思われます。





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